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世界遺産ってなんやろ

テレビやSNSで目にする機会も多いので、「知らない」「聞いたことがない」という人もほとんどいないくらいに普及している「世界遺産」ですが、「世界遺産ってなんですか?」と問われて、すんなりと答えられる方は少ないのではないでしょうか。UNESCOの数ある活動の中でもおそらく一般の方に馴染みの深い事業である世界遺産について、毎回少しだけ掘り下げて学習していきます。

 初回は【世界遺産とは】です。モン・サン・ミシェルやマチュ・ピチュ、サグラダ・ファミリア教会など世界的に有名な観光地が世界遺産に登録されていますので、「世界遺産=観光地」という認識の方もいらっしゃると思います。しかし、世界遺産は旅行ガイドとして有名なミシュランのように訪れるべき観光地をリスト化したものではありません。世界遺産は、「顕著な普遍的価値」を持つ文化財や自然を国際社会全体で保護・保全し、次の世代に継承していくことを目的とした取り組みです。保護・保全を目的としているので、観光客が一切訪れることのできない世界遺産も多く登録されています。日本の遺産の中では「沖ノ島」が有名ですね。また、世界遺産条約を所管するUNESCOのユネスコ憲章の前文に「戦争は人の心の中に生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という有名な言葉があります。世界遺産も、地球上に存在する貴重な遺産を保護・保全することで、様々な国、民族、宗教、文化、自然、気候といった多様な垣根を越えて相互に理解を深めることによって、「平和のとりで」を築くための取り組みなのです。

 世界遺産が「平和のとりで」を築くための取り組みであることの象徴的なものとして、『記憶の場(Sites of memory)』の世界遺産があります。2023年の世界遺産委員会でこの概念を取り入れた3つの世界遺産が初めて登録され、その後2024年、2025年においても『記憶の場』の世界遺産が誕生しています。世界遺産における『記憶の場』の定義は、「国家とその国民・コミュニティが記憶に残したい場所が起こった場所」とされていますが、現時点では「近年の紛争(Recent conflicts)」に関連したものに限定されています。2025年時点で登録されている5つの世界遺産はいずれも戦争、虐殺、人権侵害、人種差別といった歴史の「負」の側面に関連したものばかりです。これまでに人類が犯してきた「あやまち」を受けとめることで、そのあやまちを繰り返さないように事実として再認識・再評価し、次代での平和構築の礎としていくことを目標としているのではないかと考えられます。

 

 次回は「日本の世界遺産」について学習します。

 



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