第81回日本ユネスコ運動全国大会
第81回日本ユネスコ運動全国大会が10月18日(土)に「『日常』能登半島の創造的復興を目指して」を大会テーマに金沢市で開催されました。会場の石川県立音楽堂邦楽ホールではオープニングイベントとしてキッズ・ジャズバンドBASICの演奏が参加者を出迎えてくれました。続いての開会式で日本ユネスコ連盟会長の佐藤美樹氏が「能登地域は昨年1月の地震、9月の豪雨で甚大な被害を受けました。全国からの支援もあり地域の多くの人達が助け合い、未来に向けて生活し活動を続けています。これはユネスコの理念でもある“持続可能な社会”とも共通するものがあります。本日はこのあとのパネルディスカッションを通じ、復旧・復興に向けての課題を共有して頂ければ幸いです」と挨拶しました。大会は「子どもたちによる伝統芸能の“能・狂言”」、「井上あずみ&ゆーゆの歌とお話コンサート」が行われ、休憩をはさんで『日常』能登半島の創造的復興をテーマにパネルディスカッションに移りました。
パネルディスカッションは、一般社団法人能登復興ネットワーク事務局長の森山奈美さんをコーディネーターに、能登半島地震で甚大な被害を受けた奥能登6市町の代表者が意見交換を行いました。始めに発災直後からの状況について各パネラーから「自助・共助・公助のうち自助・共助はほとんど機能しなかった。皆でやろうという段階まで時間がかかった。最も困ったことはトイレと水。当たり前と思っていた日常が簡単に壊れた。子どもたちの方が防災意識が高い。各地域には数多くのきりこ祭りがあり、祭りを通したコミュニティーの強さを感じた。外からの助けは大きいものがあった。ただコミュニティーの強さ・人間関係の濃さが、外からの助けを入りにくくしている面もあった。まず原発が頭に浮かんだ。情報や物資などすべてが足りない。足りない中で情報を整理し実行するには行政だけでは限界がある。まだまだ復旧の段階で復興へはなかなか進めない。資材高騰もあり住む場所の確保が難しい。働く場所も少なく人が戻ってこない」などの説明があり、震災前の日常ではない持続可能な新たな日常を作り上げるための意見交換に移りました。この中では「災害を前提としたインフラ整備や機能分散と地域集約型の町づくり。災害に見舞われた時、何をしてもらえるかではなく自分たちで何が出来るのかを考える時期にきている。災害時、能登だけでまかなえる物(例えば段ボールベッド)を一つだけでも準備しておく。能登独特の古い価値観や伝統を守りコミュニティーの持つ良さと悪さを認識した上で、若い人や新しい風に入ってもらい地域の事業と結びつける。若手起業家の育成に力をいれるとともに、在宅も含めて女性の仕事場づくりを進める。能登に定住するのではなく第二のふるさとにしてもらう。働く場所はさらなる環境や待遇面の働き方改革を行う。輪島塗があるから能登に行くというようなムーブメントを起こす。能登には自然に生かされた豊かな生活があり、都会ではうすれているコミュニティーの良さを発信する」などの意見が出されました。
パネルディスカッションを通じて、人が戻るための仕掛けや戻る場所をどう構築するかが最重要課題であるということ。能登は他人事ではない。災害はあるものとして防災・減災をどう自分の中で日常にしていくかを改めて感じました。


